第20回BELCA賞ロングライフ部門表彰物件 | |
![]() 新宿センタービル |
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所在地 | 東京都新宿区西新宿1−25−1 |
竣工年 (改修年) |
昭和54年(西暦1979年) |
建物用途 | 事務所、店舗、駐車場 |
建物所有者 |
東京建物 |
設計者 | 大成建設活鼡煙囃z士事務所 |
施工者 |
大成建設 |
維持管理者 |
新宿センタービル管理 |
新宿センタービルは事業目的を異にする3所有者の共同事業として企画され、新宿新都心の中で7番目の超高層建物として1979年10月に竣工した。1973年末に始まったオイルショック後に着工を迎えたこの建物は、100年は生き続けられる長寿命建築を目標に、当時の最先端技術を採用して設計し、施工され、維持保全されていた。 長寿命を支える主要構造体は、平面的にシンメトリックな構成で、54層の中間部と頂部には13層ごとにベルトトラスとハットトラスを設けるなど安定的で経済的な架構となっていた。また、火災に対する防災計画では、13層ごとのベルトトラス階を中間避難階とし、超高層建物における避難をより安全確実に確保する配慮をしているほか、各階の非常ELVと特別避難階段の外気に面した附室の設置、ELVホールの防火・防煙扉の設置、機械排煙の段階制御の採用などを行っていた。外装はPCコンクリート板で構成されているが、ジョイント部は当時の先端的技術であった等圧ジョイントを採用し、外装からの漏水リスクとメンテナンス軽減を実現している。 環境・省エネルギー技術においても、全空気可変風量方式、空調機回転数制御、全熱交換機、省電力型蛍光管の採用、窓からの採光を考慮した照明計画、中央監視システムなど当時最先端の技術を意欲的に導入していた。 長寿命建築を念頭に様々な技術を導入して建設されたこの建物は、30年単位の長期保全計画、10年単位の中期保全計画に分けた計画が竣工当初から立てられ、毎月2回の検討会議で具体的な維持保全内容を決定してきた。日常維持管理業務は、防災センターを拠点として設備機器、内装関連を中心に行い、年間管理計画は年初に設定された計画に基づき、日常点検・月次点検・年次点検として確実に実施している。建設後30年の節目での今回のリニューアルでは、長周期地震動対策として変位依存型オイルダンパーを288台設置する大規模な構造体の安全対策を施していた。建設後に知見された新たな地震対策を行うことで、安心・安全度の信頼性を高め100年建築を目指す対策を的確に行っていた。設備機器の管理システムについても社会的なニーズの変化に応え、中央監視システムについてはビルコンからBACnet対応分散システムへ、自動制御設備は電気式アナログ制御からDDC制御へ変更し、更にBEMS導入によりエネルギー使用量を計測可能するなど機能劣化や社会的な陳腐化に対応していた。 計画目標としていた100年建築を目指し、関係者の緊密な連携の中で着実に、絶え間ない維持保全活動に取り組まれるこの建物は、ロングライフを代表する建物となることが期待される。 |
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