20回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰物件

ティファニー銀座ビル

所在地 東京都中央区銀座2−7−17
竣工 1987年(昭和62年)
改修年 2008年(平成20年)
建物用途 貸事務所・店舗
建物所有者

中央三井信託銀行
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク

改修設計者

褐G研吾建築都市設計事務所
大成建設活鼡煙囃z士事務所

改修施工者

大成建設

ティファニー銀座ビルは、ジュエリーを思わせる輝きをもつファサードと一新された内装を纏って銀座の街並みに蘇ってきた。
  1837年ニューヨークで創業したティファニーは、世界20カ国で高級宝飾専門のブティックとして展開するトップブランドとして1996年、銀座に直営店をオープンさせた。
 顧客のメモリアルな行事を共に祝う気持ちを大切にするアットホームな接客空間づくりを目指すティファニーの期待に応え、銀座の街並みに新たな輝きを加えたこのリフォームは成功したといえる。
 プロジェクトは、開業後12年を経て新しい時代に向かうアジア全域のフラッグシップとして、ティファニーの目指す価値を表出し、銀座をより活気づけることをテーマにスタートした。1987年に建設された銀座通りに面するこの建物に、1996年開業したティファニーは、リフォームか建て替えかの選択の中で、顧客のための営業が長く継続できるリフォームを選択した。
 リフォームされた外装は、ティファニーのジュエリーディテールに着想を得てデザインされた。ティファニーのダイヤの指輪は、爪で浮かせたダイヤとリングの隙間から入る光によって輝きの拡散性を高める独自のディテールを持っている。ファサードを構成する292枚のファセットパネルは、サイズの異なる2枚重ねのアルミハニカムを挟み込んだ複層ガラスパネルで、ランダムな角度を与えて外壁からブラケットで持ち出され、光の当たり方の変化によって宝石のきらめきを表出するよう意図して設計された。ゆったりと波打つようにプログラムされた照明により銀座の夜の景観に新たな一場面を加えている。
 内装についても外装のリフォームに合わせて刷新された。店舗における内装は、時代の変化に追随してテンポラリーなデザインになりがちであるが、このリフォームにおいては外装同様にティファニーの顧客を迎えるのに相応しい恒久的な接客空間づくりを意図して同一の建築家によってデザインされていた。エントランスホールは既存2階スラブの一部を抜いて吹き抜けとし、銀座の街並からの連続性を意図した空間として生まれ変わっていた。エントランス正面は、薄くスライスしたクリスタルストーンをガラスと張り合わせた美しい光壁で構成され、温かく来店者を迎え入れる。銀座通りにはファセットパネル越しにそのきらめきを表出し、銀座の街と呼応する魅力的な商業空間を生み出していた。店舗の内装は、ドレープカーテンのようにデザインされた木製の壁に代表されるように、素材と色調、光のきらめきの演出に配慮したインテリアが、トップブランドの店舗に相応しい気品と居心地の良さを演出していた。

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