第13回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰物件

群馬県 昭和庁舎



所在地:群馬県前橋市大手町1−1−1
用 途:美術館、NPOサロン、パスポートセンター、喫茶室、会議室(改修後)
    県庁舎(改修前)
竣 工:1928年(昭和3年)
改 修:2001年(平成13年)
所有者:群馬県
改修設計者:轄イ藤総合計画
改修施工者:清水建設
      池下工業
      滑ヨ電工
      金井興業

 群馬県昭和庁舎は、1928年佐藤功一の設計により群馬県本庁舎として建設されたものを、新群馬県庁舎の完成に伴い改修、外観及び内部空間の一部を保有し、展示ロビーとして、また新庁舎の県民開放施設の一部として利用されるものである。
 改修後の用途は県民利用のための会議、研修室が主であり、学習会や発表会など生涯学習施設としての役割を担っている。改修にあたっては、事前の試用等も踏まえ、用途、管理運営方法の検討を重ね、施設として県民が主体的に利用可能な開かれた交流の場になることを目指している。改修の基本コンセプトは、70年以上経過した建物を、単に歴史的建造物として保存していくということのみにとどまらず、今後も永く使い続けられることを主眼にしている。実際の改修作業は、機能上、安全上著しく不都合な部位の修理にとどめ、仕上材の交換も華美なものにならないよう、オリジナルのもつ風格を残す努力が随所に見られる。内外装の改修は、機能性が損なわれていないものについては清掃や補修により継続使用を図ることとし、新規に交換された建材も必要最小限に抑える努力が建物全体になされており、質素の中にも重厚で歴史的味わい深い建物となっている。
 耐震性能の確保については、建物としての機能性を損なわないよう配慮し、バランスよく配置した耐震壁による補強と、一部独立柱の鉄板巻きによるせん断補強と併せ、現行の建築基準を十分満足するものとしている。
 設備については、既存の建物にわかりやすく、メンテナンスをしやすく配置されている。特に便所ブースは、それ自体がユニットになっており、給水管及び排水管を施工すればこんな便所ブースができるという見本となる。
 各エネルギーは、本庁舎から新設された地下ピットで供給されており、その管理も良好な状態にある。