第13回BELCA賞選考総評
BELCA賞選考委員会委員長 内田 祥哉
BELCA賞はわが国において良好な建築ストックの形成に寄与することを目的に設けられた賞で、適切な維持保全を実施したり、優れた改修を行った既存の建築物のうち、特に優秀なものを選び、その関係者をロングライフ、ベストリフォームの2部門に分けて表彰している。平成3年よりはじまったBELCA賞は、これまでに12回、合計で116物件の建築物の関係者を表彰した。
地球環境問題などを背景に、建築物の長期利用の機運が盛り上がっており、建築物のコンバージョンに関心が高いことから、今回も全国から多数の応募をいただいた。
第10回の選考より、両部門あわせて10物件以内を表彰することとしたが、選考の結果、今回もロングライフ部門、ベストリフォーム部門それぞれ5物件、合計10物件を表彰することとなった。部門別の枠を外して以来、図らずも3回連続して両部門5物件ずつの表彰となった。
ロングライフ部門で表彰する5物件は、関係する方々が不断の努力で維持保全に努められた成果であり、「建築物のロングライフ化」という今後の課題に対し、答えがえられたものと考える。今後とも、さらに永く使い続けられることを期待したい。
一方、数年来の「コンバージョン」への関心の高まりに合わせ、ベストリフォーム部門には、多くの物件の応募をいただいた。選ばれた5物件はいずれも改修前の主な用途とは異なる物件である。用途を変えて活用するには、法的な対応が求められるので、これらの物件で示された様々な工夫や技術は、今後の建築界に新たな知見や手法を提供するものと期待している。
これ迄の受賞物件は東京都内に在るものが多く、全体の約4割を占めていた。しかし、今回は都内の受賞が2物件にとどまり、これまで表彰物件のなかった静岡県と佐賀県から新たに受賞物件が出た。BELCA賞の影響は着実に各地に広まっており、BELCA賞のさらなる全国への浸透を期待したい。
今回表彰される物件が、わが国の優良な建築ストックの形成に寄与することを願い、受賞物件の関係者に対し深く敬意を表したい。