第11回BELCA賞選考総評
BELCA賞選考委員会委員長 内田 祥哉
BELCA賞は適切な維持保全を実施したり、優れた改修を行った既存の建築物のうち、特に優秀なものの関係者をロングライフ、ベストリフォームの2部門により表彰し、もってわが国における良好な建築ストックの形成に寄与することを目的に設けられた。
平成3年よりはじまったBELCA賞は、これまでに10回、合計で96物件の建築物の関係者を表彰し、今回の表彰で第11回を迎えることとなった。
第11回の募集にあたっては、10回までの経緯を踏まえ規程などの見直しを行った。
主な見直し事項は、部会制による選考を廃止し、ひとつの委員会にて両部門の選考を行うよう改めたこと、表彰物件数を「各部門5物件以内」から「両部門合わせて10物件以内」としたことなどである。
これらの見直しにより、ロングライフ、ベストリフォームのどちらの部門での表彰がふさわしいか、あるいは両部門の表彰件数の調整をどうするかといった議論も迅速に行えるようになった。
BELCA賞の知名度も年々高まり、少しずつではあるがユニークな賞として評価をいただいていることから、第11回のBELCA賞も全国から多数ご応募をいただいた。
選考の結果、今回はロングライフ部門5物件、ベストリフォーム部門5物件、合計10物件を第11回のBELCA賞として表彰することとなった。
ロングライフ部門で表彰する五物件については、二十年以上にわたって関係者が不断の努力で維持保全に努めてこられた優秀な物件ばかりであり、「建築物の長寿命化」という今後われわれが解決していかなければならない課題に対し、ひとつの答えを与えてくれるものと期待している。
一方、リフォームへの関心が年々高まっていることから、ベストリフォーム部門は毎年激戦が続いている。応募物件のレベルも高く、関係者の努力がしのばれる物件が多かった。五つの表彰物件はこの激戦の中から選ばれた優秀なものばかりであり、リフォームに関し新たな知見や手法を提供してくれるものと期待している。
BELCA賞の表彰物件は東京都内の物件が多く、前回までの96物件のうち41物件が東京に集中するという状況にあった。前回の表彰においても、合わせて10の表彰物件のうち5物件が東京都内の物件という状況だったが、今回は2物件だけとなりBELCA賞も少しずつ地方へ浸透しているのではないかと期待している。
また、これまで表彰物件のなかった沖縄県から初の受賞物件が出たことも喜ばしく思っている。
今回表彰される物件が、わが国の優良な建築ストックの良き範となるものと確信しており、受賞物件の関係者に対し、深く敬意を表したい。
今後ともBELCA賞が発展し、わが国の良好な建築ストックの形成に寄与することを願うものである。