第31回BELCA賞ロングライフ部門表彰建物 |
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我孫子ビレジ |
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所 在 地 |
千葉県我孫子市つくし野3丁目1〜20番(住棟)22−1〜5番(店舗棟) |
竣 工 年 |
1977年 |
建 物 用 途 |
共同住宅、店舗、郵便局、市役所分室他 |
建物所有者 |
我孫子ビレジ区分所有者 |
設 計 者 |
東急不動産梶i新築)、鞄結}設計コンサルタント(新築)、 給挙鋳g房システム社(改修) |
施 工 者 |
東急プレハブ梶i新築)、鞄結}コミュニティー(修繕)、 三和アルミ工業梶i改修)、日設興業梶i改修)、椛セ陽(修繕) |
維持管理者 |
我孫子ビレジ団地管理組合法人、鞄結}コミュニティー(管理委託) |
1977年に竣工した我孫子ビレジは、住戸994戸、店舗・郵便局・市役所分室等で構成され、低層棟5階と高層棟11階・14階により、緑豊かなランドスケープを囲い配置されている。高層棟に囲われた円形広場の中央公園は、落葉高木・常緑樹などにより豊かな緑の空間となっている。 敷地の南北には、敷地西側の高台との間に水路が流れ、丁寧に整えられた樹木は四季に変化し居住者を楽しませてくれる。この緑道空間は、ぐるぐる公園・時計公園・トンネル公園を含めて、子供たち・住民にとってのヒューマンスケールなコミュニテイー空間となっている。 区分所有者は第1世代から第2世代に移行しつつあり、東京都市大学建築科の天野研究室アンケート調査において長期に住み続ける意思が示されている。現在空室が約5%。 管理組合は、建て替えずに建築物を長期に維持していくことを前提に、長期修繕36年計画を所有者に示すとともに、定期総会で毎年10か年計画の見直し案の賛同を得て維持保全を進めている。そして若年家族に選ばれる住宅にすることを目標にしている。所有者の方々は長期使用に対してしっかりとした意思を有している。今までも計画的な改修が行われてきており、今後将来にわたり収支計画を含め堅実に長期修繕計画が予定されている。 高層棟は現場打コンクリートの柱とプレキャストコンクリート部材を組み合わせた構造であり、(財)日本建築センターにて構造評定を受けている。振動応答解析が行われた設計であり震度6強の大地震に対して損傷はあるかもしれないものの倒壊や崩壊などの被害には至らない十分の余裕があることが確認されている。中層棟はプレキャストコンクリート壁式構造で、2001年の国交省告示の壁厚15pに対して、外壁18p内壁15pとなっており上回っている。高層棟も中層棟も1981年以前の建築物だが現行基準による構造耐震性を満たしているとの事である。 管理組合は、竣工後43年間、3回の大規模修繕工事を行い、屋上防水・給水給湯設備・サッシ窓(Low―E複層ガラス)の省エネルギー改修・玄関扉改修・居住棟内給水管・埋設給湯管改修・外構の維持保全を継続的に実施してきた。時代の変化に合わせて最新の技術を用いて生活環境向上と光熱費削減が実行されてきている。 竣工時に先進的であった給湯暖房用の温水を全住戸に供給する住棟セントラル式給湯設備を省エネルギー改修している。既存の加圧式高温水ボイラーから、真空式温水ヒーター・蓄熱式に改修など総合的に行い電力消費75%減、燃料消費38%減としている。 また、省エネルギーの取り組みとして、受水槽・加圧給水設備の改修、駐車場照明・共用部階段照明等のLED化が行われた。 居住棟は1戸の専有面積78uとワイドフロンテージにより広がりのある内部空間である。居室内の設備配管が、床とスラブ間15pに納められ改修が容易な構造である。その内部空間と設備システムが生かされて、年間10 〜 20 件の内部改装案件では、間仕切壁を撤去し大ルーム化、キッチン位置変更もあり、現在の生活スタイルに合わせたリノベーションが行われている。 改修時に、竣工時塗装を参考にした建物全体の塗装色塗り分け、断熱性能の高いサッシ入れ替え、建物棟間歩道のバリアフリー化、子供用空間・遊具の設置などを推進している。戸あたりの面積が比較的広く、間口も広いために、適切な改修を施すことで、竣工後40年以上を経て空き家率を少なく保つことに寄与している。 |
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