第28回BELCA賞ロングライフ部門表彰建物 |
|
御堂ビル |
|
所在地 |
大阪府大阪市中央区本町4-1-13 |
竣工年 |
1965年 |
建物用途 |
事務所 |
建物所有者 |
鰍sAKプロパティ、樺|中工務店 |
設計者 |
樺|中工務店 |
施工者 |
樺|中工務店 |
維持管理者 |
樺|中工務店、 潟Aサヒファシリティズ |
大阪のメインストリート御堂筋を歩くと、ビジネス街の中心である本町あたりに茶灰土三色濃淡の有田焼タイルの外壁とステンレスとアルミサッシで作られた建物がある。御堂ビルである。 御堂ビルは1965年3月に建てられた築53年のオフィスビル(竹中工務店本社)である。建設にあたっては、オーナーであった竹中藤右衛門氏の「後世に残し得るようなものを建てたい」という言葉通り、新築時には当時の最先端技術であったフルウェッブH形鋼や軽量コンクリートなどを積極的に採用するなど、新しい試みにも挑戦している。さらに建物外周部にはすべて空地を確保しているため、様々な改修工事が居ながらにして容易かつ安全に行える設計になっており、常に時代の最先端の技術を導入することを可能にしている。BCP対応工事としては、耐震補強工事の他に天井の耐震化工事、大型蓄電池の導入など先進的な取り組みなども行い、長期使用の意思が感じられる。 2040年までの改修計画が立案され、設計施工を行う会社ならではの緻密で具体的な維持保全・改修計画が検討されている。特に働き方改革という観点からは、これからの50年先を見据え、イノベーションを生み出すためのワークプレイスを目指した改修計画が2016年から2018年にかけて行われている。各フロア間のコミュニケーション誘発のために、5層の執務ゾーンの床を抜いて吹き抜けを設け、階段を設置。階段の周囲には共創空間として知の共有が図れる多様な仕掛けを作って、社員に刺激を与えようと試みている。歴史を感じさせる外観を持ちながら、内部空間を現代社会で求められる知的生産性を向上させるためのオフィス空間として、機能させようとしている。また設計者と施工者が所有者でもあり利用者でもあることを活かし、維持管理者と一体となって維持保全のためのマスタープランを毎年見直し、長期使用の為の適切な維持管理並びにリニューアル工事を実施している。社会との共創も標榜されているが、1階の扱いについては、今後の御堂ビルのロングライフ化のなかで、さらなる開かれた施設づくりへの検討が行われることを期待したい。今後も変化し続けようとする意気込みが感じられるビルである。 |
|