28回BELCA賞ロングライフ部門表彰建物



サントリーホール

所在地

東京都港区赤坂1-13-1

竣工年

1986年

建物用途

コンサートホール

建物所有者

サントリーホールディングス梶A森ビル

設計者

活タ井建築設計事務所、鞄江三宅設計事務所、鹿島建設梶A渇i田音響設計、褐囃z設備設計研究所

施工者

鹿島建設梶A三機工業梶A鰍ォんでん

維持管理者

サントリーホールディングス梶A公益財団法人サントリー芸術財団、森ビル梶AALSOKビルサービス
 サントリーホールは「世界一美しい響きのコンサートホール」を目指して、1986年10月に開業した。故ヘルベルト・フォン・カラヤンから「音楽は演奏家と聴衆が一体となって創り、共に喜び楽しむもの」との助言を得て、舞台を客席が取り囲む我が国で初めてのワインヤード型の音楽空間を実現している。
 完成から30年ちょっと経過しているが、欧米のクラシック音楽専用ホールが100余年を超えて、今なお音楽の殿堂として歴史を刻み続けているのと同様に、サントリーホールも将来に渡り演奏者と聴衆との密接な関係を保つために、音楽空間にふさわしい場所性を維持し、継続して改良を続けていく必要がある。その為に、建築・設備設計者、音響設計者、運営・管理者、施工者による「定期的な会議体」を設けて施設と運用のモニタリングを続け、課題の早期発見と予見に努めている。また、演奏者や観客からの意見を定常的に収集し、5年毎の改修項目リスト化の仕組みを構築。それに基づき中長期修繕計画を5年毎に見直しつつ、レセプショニストを通じてお客様の生の声、企画運営・舞台芸術・警備・清掃などホールに関わる全ての関係者の意見要望を拾い上げ、整備・概略設計・コスト・工期を設定選別し、改修を実行している。また、建築主も設計者も、創建時の担当者に新たなメンバーを加えつつ、30年以上同じチームで継続的に価値創造を図っている。
 改修のコンセプトは以下の3点である。

1.伝統の継承
 響きと意匠を変えないように、舞台の床の張替えやパイプオルガンの5,898本あるパイプのオーバーホールを行っている。椅子の布地は創建時に製作したウィーンのメーカーが30年目には製作できず、国内のメーカーで対応した。
2.ダイバーシティデザイン
 2012年「防災・減災施設に関する容積率不算入の法改正」により、備蓄倉庫を地下に設けることで400u弱の容積を確保できたため増築棟を建設した。そこにウェストエントランスを新設してVIP・身障者などへの多様な対応を可能とし、客用トイレの増設、エレベーターの新設、ホワイエスロープの増設を行っている。
3.設備の更なる充実
 次世代音楽空間創造のために、舞台特殊設備更新(音響・照明設備)、舞台客席照明のLED化、楽屋の内装・家具・照明の更新、ポスターだった館内サインのデジタルサイネージ化、全館スプリンクラー配管の更新と特定天井以外の廊下等の天井耐震化を実施した。

 アークヒルズという再開発された街に組み込まれ「外観を持たない」ホールは従来に見られなかったものであるが、このホールの継続と発展がこの街の持続的な発展に寄与していくことは間違いない。

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