第25回BELCA賞ロングライフ部門表彰建物 |
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千葉大学ゐのはな記念講堂 |
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所在地 |
千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学亥鼻キャンパス内 |
竣工年 |
1963年(昭和38年) |
改修年 |
[第1回]1993年(平成5年) [第2回]2014年(平成26年) |
建物用途 |
大学(講堂) |
建物所有者 |
国立大学法人 千葉大学 |
設計者 |
槇文彦+樺|中工務店(新築)、 国立大学法人 千葉大学(第1回改修)、伎総合計画事務所(第2回改修) |
施工者 |
樺|中工務店 |
維持管理者 |
国立大学法人 千葉大学 |
千葉大学医学部85周年を記念して1963年に創建された「ゐのはな記念講堂」は、緑豊かなキャンパスの小高い丘の一角に圧倒的な存在感をもって広場と向きあっている。そして、力強く開放的な梯形架構は「鎮守の森の社」のイメージを今尚保ち続けている。 時代の要請により、竣工後2回(1993年、2014年)の改修がなされているが、設計者である槇文彦氏のデザインコンセプトは施設関係者に共有され、堅持され続けている。斜め外壁の杉板本実型枠コンクリート打放し工事は、高品質な型枠施工とコンクリート打設がなされ、2014年(築後50年)改修時のコア抜き調査でも強度は問題なく、中性化深さは10mmにも満たなかった。従って、外装は部分的な樹脂モルタル補修と薄膜で高性能な中性化抑制塗料の採用により外観の維持と長寿命化の両立が可能となった。斜め屋根のシームレスな硫化いぶし銅版葺きは漏水個所もなく、上端部をカバーする予防措置のみ行なっている。耐震補強については、診断結果に基づき梯形架構の必要な部分に15cm増打ち補強を施し、階段室のスリットを埋め耐震壁として強化しているが、外観意匠を損なってはいない。 ホール機能向上の一環として、講演等に適した音響性能とするため、遮音・吸音性能を考慮した内装材へ更新し、1階客席を720席から576席に減らして現代人の体格に合ったゆとりのある寸法を確保している。天井についてはアスベストを完全に除去し、梯形架構のフレキシビリティを活かして、空調・照明の改善と併せ、ルーバー天井に一新した。 空調設備・電気設備は、創建以降2回の大規模改修において老朽化対策が実施されたが、直近では、居住域空調への改修、照明のLED化による省エネ対策、ホワイエ空調の新設による温熱環境の改善、誰でもトイレの設置によるバリアフリー化、無線LANの設置など、時代の要請による改善により今後長期の使用にも十分耐えうる水準まで機能が高められている。 維持管理においては、異なる視点を持つ2つの部門(日常管理者と長期計画管理者)の連携により、確実な維持管理が行われている。また、2012年に策定された「千葉大学キャンパスマスタープラン」のなかで再生整備による歴史遺産継承が示され、本施設の今後の継続的使用が約束されている。 |
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