第18回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰物件 | |
行幸地下通路(丸の内駐車場) |
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所在地 | 東京都千代田区丸の内2丁目4番1号 |
竣工年 | 1960年(昭和35年) |
改修年 | 2007年(平成19年) |
建物用途 | 都市計画駐車場・都市計画通路 (改修前)都市計画駐車場 |
建物所有者 | 三菱地所 |
改修設計者 | 且O菱地所設計 |
改修施工者 | 大成建設梶A滑ヨ電工、新菱冷熱工業梶A鰹骭研究所 |
今日でも宮内庁騎馬隊の儀装馬車が通ることで知られる行幸通りは、東京駅から皇居に向かう日本有数の都市軸であり、東京のビジネスセンターの顔として、丸の内中心街の骨格を形成している。1960年(昭和35年)に、日本で初めての都市計画駐車場として行幸通りの地下に建設され、永らく人々に利用されてきた駐車場も、竣工後46年を経て、老朽化もさることながら周辺各ビルの駐車場完備により、その使命を終えつつある。 2004年に、丸の内地区再整備の一環として、敷地外公共貢献事業による新しい概念の歩行者通路に位置付けられ、2007年に地下1階駐車場を都市計画通路にコンバージョンし、多層的な歩行者ネットワークとして周辺ビルを接続した。また地下2階駐車場はこれも周辺ビルの駐車場に接続して安全性・利便性が向上している。JR、地下鉄、国道、都道、駅前地下広場、周辺ビルなどとの複雑極まる連絡調整や様々な規制を克服しながらの難工事を完成し、今後は地上部の行幸通りに往時の4列並木を再現すると共に、人々の活発な往来を呼び戻そうとする構想である。 地下1階駐車場においては、駐車場本来の低い天井高の制約下で、中央部を通路、その両側220メートルをギャラリースペース、更にその外側に設備スペースを集約することで、中央通路には空間的開放感を確保。また、並木用根鉢スペースと一体化した耐震補強、地下空間と地上部を繋ぐトップライトやガラス上屋の階段など、安全性向上と閉塞感緩和の数々の工夫に加え、解体された周辺ビルの面格子や行幸通りに使われていた稲田石の再利用など、かつて「一丁紐育」と呼ばれていた行幸通りの歴史性の保存を試みている。 歩行者通路の賑わい演出を目的としてLED演出照明、サークルビジョン、調光設備を導入。天井照明は、色温度の違う2種類の蛍光灯を各各調光することにより、屋外の朝から夕方までの自然光の変化に合わせて色温度を変化させ、柱上部にはRGB一体型LEDを使った間接照明を配置し、季節やイベントに合わせたカラー演出も可能にしている。 駐車場はCO2制御による給排気ファン、通路は外調機+FCUによる冷暖房、冷水及び蒸気はDHCを導入し、省エネルギー化と共にスペースの有効活用を図っている。地球温暖化防止対策として、中水の散水利用への配慮、バリアフリー対応として、エレベーターやエスカレーター、車椅子用リフトを新設し安全快適な歩行者空間を実現、竣工後もギャラリーのメセナ的イベント誘致など賑わいをもたらすべく管理運営体制を整えている。 丸の内地区は今世紀に入り著しい変容を遂げつつある。来るべき東京駅丸の内駅舎の復元などと一体になった公共的な都市施設、都市景観の整備により、歴史の継承と未来への飛躍が共存する国際都市・東京の玄関口に相応しい新名所の誕生を期待したい。 |
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