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第30回ＢＥＬＣＡ賞ベストリフォーム部門表彰建物 |
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日本橋髙島屋S.C.本館（日本橋二丁目地区再開発B街区） |
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所在地 |
東京都中央区日本橋2-4-1 |
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竣工 |
1933年 |
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改修年 |
2019年 |
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建物用途 |
百貨店 |
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建物所有者 |
㈱髙島屋 |
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改修設計者 |
㈱日本設計、㈱プランテック総合計画事務所 |
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改修施工者 |
㈱竹中工務店、三機工業㈱ |
| 髙島屋東京店は、高橋貞太郎のコンペ案に基づき1933年（昭和8年）に竣工した。戦後、村野藤吾の設計で、数回にわたり継承的かつ創造的な増築が行われ、1965年（昭和40年）には、昭和初期洋風建築と戦後近代建築の様式が統合された一街区の一建物となった。 今回のベストリフォーム部門の対象は、この現日本橋髙島屋S.C.本館であるが、隣接街区との再開発事業抜きには語れない。本建物を保存するか解体するかで揺れたこともあったようであるが、所有者は本館を残すことを決断した。それは街の歴史や文化を次世代に継承しながら発展させることこそが、持続可能な都市をつくるという考え方に基づいている。百貨店建築として初の重要文化財指定を受け、隣接街区との再開発事業が進められた。文化財のあり方が、記念碑的な凍結保存からいかに活用するかへと変化する機運の中で、使い続けるための改変を伴う事業について文化庁をはじめとする文化財保護行政とともに模索し、「保存活用計画書（方針）」が策定された。これにより保存すべき文化的価値のある重要な部位と、活用のために日常的に更新を行うことのできる部位についてのランク分けが明確化され、重要文化財の中での百貨店事業が可能になった。 本計画のポイントは、歴史的建造物では担い難い荷捌きやエネルギーなどのインフラ部分を隣接街区に外出しにしたことであろう。従前は荷捌きが道路一面に配置され、道路から搬出入車両が直接出入する状況で、街に対してウラを見せるとともに周辺交通への影響があったところ、複数街区開発の強みを生かしそれらを隣接街区地下に配置することで、地上部を荷捌き車両から解放した。同様に駐車場も隣接街区地下に設置することにより、本館の四周を人の為の街路で構成することが出来ている。特に隣接街区間の道路は歩行者専用道として整備し、ガラスの大屋根のかかったガレリアとしている。ここは両街区の新旧外壁デザインが向かい合う、歴史を感じる新たな表通りとなっており、常に人が往来する街の賑わいの核となっている。 また、エネルギーに関しては、本館単独では機械室の階高制限などにより高効率な熱源機器の導入が不可能であったところ、既存が冷水槽を経由する開放回路であった空調配管回路のクロード化を行い密閉回路に改修することで、隣接街区に設置された都地冷からの熱源の受入れが可能となった。結果として、本館には熱源機械室および屋上機器などが不要となり、各棟単独で熱源を設けた場合よりもCO2を30%削減させている。 高橋貞太郎設計の本館屋上は従来から庭園であった。その後の増築時に屋上駐車場や屋上設備機器が配置されていたが、今回の改修で上記のような理由によりそれらが無くなり、屋上が人に開放されるとともに、「みどりの台地」として都心部に貴重な屋上緑化空間を創出している。 重要文化財指定にあたり、「高橋貞太郎と村野藤吾両者による意匠的対比が鮮明で、かつ新旧が明瞭に位置づけられながらも継承・統合され、一街区に建つ一体不可分の建築作品として完成度が高い」と評価された。その建築の作品性を末永く生かすため、それらを支える部分は新規隣接街区に委ねるという手法は、今後の歴史的建造物の活用を考える上でひとつの指針となるだろう。 |
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