第25回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰建物 |
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三越銀座店 |
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所在地 |
東京都中央区銀座四丁目6番-16 |
竣工 |
1968年(昭和43年) |
改修年 |
2011年(平成23年) |
建物用途 |
[改修前] 百貨店 [改修後] 百貨店・駐車場 |
建物所有者 |
且O越伊勢丹 |
改修設計者 |
鹿島建設 |
改修施工者 |
鹿島建設梶i既存本館・増築部分) 、大成建設梶i増築部分) |
三越銀座店は、半世紀にわたり銀座4丁目のランドマークとして親しまれてきたが、手狭となった売り場面積の拡張が大きな課題であった。その解決策として、既存本館と増築用地の間にある区道を廃道し、分断されていた街区を一体化することにより、広いフロアプレートを実現している。売り場面積の拡張に際しては、全館避難安全検証法と消防性能規定ルートC(大臣認定)を用い、既存階段を撤去し接続部分の間口を広くすることでその効果を高めている。廃道となった旧区道は、車も通行する道路機能を残しながら、商業施設としての賑わいを連続させる2層吹き抜けの「パサージュ」として再生された。 既存本館と増築部分で階高の異なる4〜6階は、吹抜を介したスキップフロアとし、立体的な回遊性を高めている。また、既存本館の屋上は緩やかな起伏のある芝生広場とし、増築部分と一体感のある憩いの空間を創出している。この広場は、災害時には避難場所としても機能する。 増築に際しては、既存本館の全面更新により、既存不適格であった防災性能の向上も図っている。施工手順としては、まず既存遡及等に関わる本館改修を行い、次に増築部分との接続部の階段を撤去し、耐震壁移設を行なった後に空間を一体化している。既存本館の改修工事は通常の営業をしながらの制約条件の多い夜間工事であり、所有者・設計者・施工者の密な連携が無くしては為し得なかったであろう。 環境への配慮としては、DHCによる地区単位での熱源集約化・外気冷房や室内CO2濃度に対応する外気導入制御・売り場の照明計画見直しによる設定照度の最適化等で、省エネルギー対策を行なうとともに、太陽光パネルによる創エネや屋上緑化によるヒートアイランド対策も実施している。その結果、延べ面積65%増に対してCO2排出量は5%増に抑制している。また、BEMSによる最適な維持管理ができる仕組みが構築され、設備システムの省エネチューニングによって、効果を検証しながらエネルギー消費の更なる低減を可能としている。 当プロジェクトは、都市再生特別地区制度の趣旨をふまえ、建物の再生だけでなく街路空間を活性化して回遊性を高めることにより、賑わいのあるまちづくりにも貢献している。銀座東地区再生の足掛かりとなることを期待する。 |
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