第25回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰建物 |
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新潟市水族館 |
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所在地 |
新潟県新潟市中央区西船見町5932-445 |
竣工 |
1990年(平成2年) |
改修年 |
2013年(平成25年) |
建物用途 |
水族館 |
建物所有者 |
新潟市 |
改修設計者 |
椛蛹嚼ン計 |
改修施工者 |
渇チ賀田組、丸運建設梶A叶V潟藤田組、星野電気梶A大明電業梶A鞄n辺電気工業所、 興洋管建梶A潟iカムラ、叶迹纉c設備、北陸ガス梶A樺O青社、株T村工藝社 |
全国の水族館の多くは1990年前後のバブル経済期に相次いで開館しているため、近年、経年劣化による大規模修繕時期を迎える「2020年問題」という経営課題を抱えている。 「マリンピア日本海」の愛称で永く親しまれた新潟市水族館は、1990年現敷地に移転新築され、20年が経過した。日本海沿岸に立地するため塩害による施設の劣化進行が著しい上に、少子高齢化、娯楽・価値観の多様化に合わせ、競合する水族館も増加して入館者が減少するなど、単なる施設修繕のみでは今後の来館者ニーズに対応することが困難と思われる中で、施設の魅力アップが求められたリフォーム計画である。 リフォームの方針は、日本海というネーミングの原点に戻り「日本海と新潟」に拘った再構成がなされている。館長の強い思い入れにより、生物を身近に感じられる見易さを追及した展示空間の再構成がなされていると同時に、従前の駐車場から水族館への長く単調なアプローチには、砂丘湖・ため池・田んぼなど新潟を特徴づける「にいがたフィールド」を新設することにより、新たな魅力を附加している。また、展示順路に沿ったバリアフリールートの確保、雨に濡れない屋外観覧場・エレベーターの設置などによりホスピタリティを充実させている。 水族館は莫大なエネルギーを消費する施設のため、環境配慮への取り組みは欠かせない。 設備更新に関しては、全観覧通路と大水槽を含め水槽照明の7割をLED化したのみならず、外光を上手く利用して展示空間を配するといった展示構成の工夫により、省エネに取り組んでいる。また、太陽光発電(30kWh)の設置、高効率機器の採用、更に熱源を重油から都市ガスに変更することにより効果を上げている。水族館の6割を占める非公開運営管理スペースでは、設備機器・配管類について維持管理し易いスッキリとしたリニューアルがなされている。更に、長期修繕計画は従前の事後保全から予防保全へシフトしたものとなっている。 今回のリフォーム工事は全て地元の新潟市内業者により行われているため、今後のアフターサービスを含め、素早い対応を可能とするメンテナンス体制が組まれていることも注目される。 リフォーム後の来館者は従前比1.5倍増となり、大きな成功を収めている。今後も、この新たな水族館が末永く地域から愛され続けると共に、「2020年問題」を抱える他の水族館にとり、好事例の参考とされることを期待する。 |
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